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泣き虫てんぐの3倍パンチ

誰のことも傷つけない透明人間になりたい

せつぶんの夜


ねぇママぁ

どうしたの坊や?

どうしてこんやは
さとにおりちゃだめなの?

あらまぁ…
まだ納得してなかったのね
ふふふ
こちらへいらっしゃい
抱き締めてあげる

いたいよママぁ

私の可愛い坊や
人間は本当に恐ろしい生き物なの
それは分かるわね?

うんー

今夜はね、節分という日なの

せつぶん?

そう、せつぶん
彼らが私たちに豆を投げつけてくる
一年で最も恐ろしい日よ

どうしてそんなことするの?

さぁどうしてかしら
でも遥か昔からそういう日なの
きっとその理由は
彼らも知らないんじゃないかな?

しらないのになげるなんてひどい

そうよ、とても酷いことね

まめ、いたいよね?

そうよ、とても痛いわ
そして当たりどころによっては
死んでしまうことだってあるの

えぇーそんなのいやだよー

そうよね、賢いわ坊や
だから今夜はね、今夜だけは
里にはおりちゃいけないの
わかってくれたかな?

うん、こんやはがまんする

よし、お利口さんね
分かってくれて嬉しいわ

でもママ?

なあに?

ぼくたちもかれらにさ
まめをなげたらいいんじゃない?

どうしてそんなことするの?

だってそうしたらさ
いたいのにきづくじゃん

そうかもしれないわね
うーん
でもママはその考え方には反対かな

どうして?

だって食べ物を投げるだなんて
ママはそんなことしたくない

そっかぁ
たべもののかみさまに
おこられちゃうもんね

うふふ、そうね

じゃあさ、いしをなげたら?

それはもっと駄目よ
当たったら本当に死んでしまうかも

でもそうしないとさ
わかってもらえないじゃん

そうかもしれないわねぇ
でもそれでいいの

えー
ぼくたちばっかりがまんするの?

そうね
争って傷付け合うくらいなら
ママは我慢する方がいいかな

やさしいママはすきだけど
ぼくはくやしいよ

ありがとう
でも坊や、よく聞いてほいしの

うん

それをやってしまったら
結局人間たちと同じだと思うの

じゃあやられっぱなし?

そんなことないわ
人間たちと出会わなければ
やられたりしないもの

そりゃそうだけど…

傷付けてくる者からは
離れて生きればいい
愛する者だけが近くにいてくれたら
それで充分幸せなのよ

にげてるみたいでやだなぁ

それは逃げることとは違うわ
生きていくためには大切なことよ

ひーろーみたいにたたかいたいよ

そうね男の子だもんね
言ってることはよく分かるわ

うーん

でもね、生きているとね
愛する者を守るために
必ず戦うべきときがくる
その時はもう思う存分戦いなさい
相手を傷付けたって構わない

ころしてもいいの?

愛する者を守るためなら
仕方ないかもしれないわね

むずかしくて
わかんなくなってきた…

そうね、難しい話よ
自分のために相手を傷付けちゃ駄目
だけど愛する者を守るべき時は
戦うことから逃げちゃ駄目

ひーろーもそうかな?

ヒーローもそうだと思うわ

うーん

いま分かってくれてなくてもいいの
だけど覚えててほしい
坊やに愛する者ができたとき
きっと分かることよ

ぼくはママをあいしてるよ

うふふ、ありがとう
じゃあ今はママを守る時だけ
その時だけヒーローみたいに
戦ってくれるかな?

うん、まかせてよ!

約束ね
坊やはきっと立派な鬼の男になれるわ

うん!

坊やを守るその時はママも戦うからね

ふたりでまもりあうんだね

ママはあなたがいてくれたら
それだけで充分幸せ
だからそれ意外なにもいらないわ

ぼくもずっとママといたい

とっても嬉しいわ
坊や、今夜は早く寝ましょっか

うん!
きのうのおはなしのつづきして!

いいわ、じゃあ歯みがきして
おトイレ行って寝ましょうね

 

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